点滴は、がん終末期の患者さんを苦しめることがある |藤沢市のかつや心療内科クリニックは医師によるがん患者さんのこころを専門にした心療内科です

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点滴は、がん終末期の患者さんを苦しめることがある

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点滴は、がん終末期の患者さんを苦しめることがある2024.03.04

 がんの患者さんが、食事が摂れなくなったり、水分を摂取できなくなったとき、ご本人やご家族から点滴をしてほしいと言われることがよくあります。点滴と聞くと、イメージとして、無害そうに思えてしまうのですが、場合によっては、患者さんを苦しめてしまうことがあります。

 今回は、がん終末期の患者さんに対する点滴について、藤沢市にあるかつや心療内科クリニックからがん相談コラムをお届けします。今回、取り上げる点滴というのは、末梢の静脈(手や腕の静脈)に針を刺して水分の輸液を行うものを言います。

 なお、がん終末期といっても、個々の患者さんで、状態は非常に異なりますので、主治医に相談しながら、方針を決めていく必要があることを申し上げておきます。

点滴の安心感

 もう20年以上も前、私は、風邪をひいてかなり高い熱が出ました。近くの病院にかかり、診てくれた医師が、「点滴でもしておきましょう」と言ってくれました。私は、ほっとしたというか、ありがたいな、と思いました。点滴がポタポタ落ちているのを見て、安心したことを覚えています。患者さんもこんな気持ちになるのかなあ、と思いました。

脱水状態の方が体は楽

 風邪などで水分が摂れない時や熱中症で脱水になっているとき、点滴は必要な治療であり、大きな効果をもたらします。しかし、がん終末期の患者さんの場合は、体が水分を利用できない状態になっていますので、風邪や熱中症の時の点滴とは考え方が違ってきます。聖隷三方原病院の森田達也副院長(緩和ケア医)は、「輸液をしたからといって、終末期がん患者の症状が緩和されるわけではない」と述べています(文献1)。水分が摂れないと脱水で辛いのではないかという心配がありますが、むしろ、この段階の患者さんは、脱水状態の方が体は楽なのです。

点滴の量が多いと、苦痛が増強することがある

 点滴を行うことにより、腹水や胸水が増えたり、浮腫や痰がらみが悪化することがあります。

 ・腹水が増えると、お腹が張った感じが強くなり、時として痛みを感じることがあります。その他、食欲低下、吐き気など様々な症状が出ることがあります。

 ・胸水が増えると、呼吸苦や咳などがみられます。

 ・浮腫が悪化したり、痰の量が増えて、辛い思いをされる方が多いです。

 日本緩和医療学会は、『終末期がん患者の輸液療法に関するガイドライン』を発行し、病状に応じた点滴の方法を示しています。

点滴の減量や中止の提案

 上記の理由により、患者さんやご家族に、点滴の量を少なくしたり、中止する提案をさせて頂くことがあります。しかし、この提案は、患者さんやご家族にとって、非常に辛いものと感じられることがあります。点滴をしないことで、患者さんやご家族が「寿命が短くなる」「苦痛な症状が増える」と考える場合があります。

 患者さんやご家族が、点滴にどのような意味を感じておられるのかが非常に重要なのです。患者さんやご家族のお気持ちをしっかりとお聞きしながら、ご一緒に今後のことを考えていくことがとても大切です。その上で、点滴を中止するのか、少しの量だけ行うのか、今まで通り多めに行うのか、を決めます。

皮下輸液という選択肢

 がん終末期の患者さんは、いくつかの理由により、血管に針を刺しにくい状態になっていることが多いです。どこを探しても針を刺すことができるような血管がみつからないことがあります。それでも、何とか点滴をしようとすると、何度も針を刺そうとして、患者さんを苦しめてしまうことになってしまいます。

 そこで、皮下輸液という方法を提案させて頂くことがあります。皮下輸液とは、胸部や腹部の皮下にプラスチック製の針を挿入し、輸液剤を少量ずつ注入する方法です。静脈に針を刺しませんので、せん妄の中で、自分で抜去されるようなことがあっても安全に輸液ができます。注入できる量は、静脈に針を刺す点滴と比べて、少量です。

 皮下輸液という選択肢があることを患者さんやご家族にお伝えすると、パッと表情が明るくなり、喜んで下さることが多いです。

元気なうちに、延命治療について話し合う

 あなたやご家族が終末期になったら、延命治療はどうするのか、常日頃から、ご家族など大切な人同士で話し合っておられますか。点滴をどうするのか、人工呼吸器をつけるのかつけないのか、心臓マッサージはどうするのかなど。事後に後悔したり、葛藤を抱えておられるご家族はとても多いです。難しい面もあるとは思いますが、このようなことを元気な時に、十分に話し合っておくことをおすすめします。

 本コラムを終えるにあたり、クリスチャンの医師であられる日野原重明先生(聖路加国際病院名誉院長)の言葉(文献2)を引用したいと思います。

 『家族や親しい者と穏やかに今という時間を共有するそれは、「終わり」ではなく、むしろ永遠の生への「出立」のように私は思います。ならば、幼子が母の歌う子守唄で身も心も解放されて、目覚めるまでのしばしのあいだ、安らかな寝顔を見せてくれるのと同じひとときを、と願うのです。
Peaceful Eternal Life―
 そう呼んでみてはどうでしょうか。』

(文献1)森田達也、白土明美:エビデンスからわかる患者と家族に届く緩和ケア、医学書院、2016年
(文献2)石飛幸三:「平穏死」のすすめ-口から食べられなくなったらどうしますか、講談社文庫、2013年

概要 概要

院長 吉田勝也
標榜科 がん心療内科
資格 日本緩和医療学会 
緩和医療認定医
厚生労働省 精神保健指定医
日本医師会認定 産業医
住所 神奈川県藤沢市南藤沢17-14
ユニバーサル南藤沢タワー403
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gan-soudan@kzc.biglobe.ne.jp
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