延命治療を自分で決めるために必要なこと |藤沢市のかつや心療内科クリニックは医師によるがん患者さんのこころを専門にした心療内科です

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延命治療を自分で決めるために必要なこと

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延命治療を自分で決めるために必要なこと2025.05.26

 医療における「自己決定権」という言葉を聞いたことがありますか。患者さんが、医師から十分な説明を受けたうえで、自分が受けたい医療を自分で決める権利です。勿論、延命治療も然りです。この権利は、法律の専門家によると、憲法の基本的人権の根幹である自己決定権に基づいているそうですので、大切にして頂きたいと思います。

 皆さん、元気なうちに、ご自分で決めた延命治療の事前指示書をご家族などの大切な人と話し合いながら書いてみませんか。今回は、藤沢市にあるかつや心療内科クリニックから『延命治療を自分で決めるために必要なこと』と題して、私の事前指示書の一部をご紹介しながら、考えてみたいと思います。

延命治療、元気な時に考えておきましょう

 「食べられなくなったらどうしますか? 経管栄養や胃ろうを希望しますか?」「急変したとき、心臓マッサージや人工呼吸を希望しますか?」これらの問いは、がんを含む高齢者医療の現場では日常的なものなのですが、患者さんのご家族に向けられることが多いです。この問いが発せられるとき、患者さんご本人は、病気の進行や認知症などにより、ご自分のことを決められない状態になっていることが少なくないからです。患者さんの意思が蔑ろにされる傾向があるんですね。

私の事前指示書の一部

・意識を失った場合、救急車を呼ばないこと。心停止の場合、心臓マッサージやAEDといった蘇生術を行わないこと(★注:心停止後、仮に、再び心臓が動き出した場合、その患者さんは、元通り元気になるものなのかどうか、どのような経過を辿るのかを、是非、知っておいて下さい。)

・人工呼吸器はつけないこと。人工呼吸器がつけられている場合には、外すこと(★注:人工呼吸器は、延命治療になる場合もありますが、病気によっては治療に欠かせないものでもあります。)

・点滴はしないこと。自宅や施設での食事介助はやめて下さい。栄養補給のための人工栄養(経管栄養、胃ろう、中心静脈栄養)は不要。水を飲ませることも不要ですが、氷の一片を口にふくませて下さることは歓迎します。(★注:人工栄養で生き続けることの医学的意味を知っておく必要があります。)

延命治療を自分で決めるとき、医療者のアドバイスが必要です

 私の事前指示書を読んでどのような感想を持たれましたか。私自身に関しては、延命治療には全く関心がありません。食べられなくなったら其れ迄、と思っています。勿論、医師として、患者さんやご家族のお考えを最大限尊重することは言うまでもありません。

 さて、私の事前指示書の中には、いくつかの医学用語が出てきますが、これらの知識がないと、あなたは、どのような延命治療を望むのか、望まないのかを決めることができません。人工呼吸器を見たことがないと、人工呼吸のイメージはわかないと思うのです。意思決定において、延命治療に関する知識とアドバイスをくれる医療者が必要なのです。実際に「事前指示書を書きたいのですが、専門的なことがわかりませんので難しいです」と言われる方は少なくないです。

どこまでが治療でどこからが延命か?

 どこまでが治療で、どこからが延命ですか、という質問をしばしば受けますが、それは、患者さんの病期と病状によります。病期、病状に応じた慎重な判断が必要です。主治医に相談してみて下さい。当クリニックでも相談をお受けします。

 例えば、がんのステージによって、治療の意味は異なってきます。がん終末期の患者さんに人工呼吸器をつける医師は極めて少ないと思いますが、救命救急の現場では、十分にあり得ることなのです。少しでも延命をと願う患者さんやご家族であれば、そういうことを望まれるでしょう。一方、延命治療を望まないのであれば、このような時、事前指示書が役立つでしょう。

点滴と人工栄養(経管栄養、胃ろう、中心静脈栄養)

 最後に点滴と人工栄養について述べます。点滴に関しては、当クリニックがん相談コラム『点滴は、がん終末期の患者さんを苦しめることがある』を参考にして下さい。人工栄養とは、経管栄養、胃ろう、中心静脈栄養のことです。がんや認知症で食べられなくなって、寝たきりの状態になっても人工栄養を受け続けるのかどうかを考えておく必要があるでしょう。

 因みに、欧米豪では、人工栄養で延命され、寝たきりになっている高齢者はほとんどいません。元血管外科医で、特別養護老人ホーム常勤医の石飛幸三氏は、「確かに命は大切です。しかし、命は大切なものと考えすぎないことです。命の長さを延ばすことにこだわりすぎないことです。「命より大切なものはない」という考えにとらわれてしまうと、理性と感情の対立に振り回されます。」と述べています。同感です。私も抗がん剤治療に関して、石飛氏と同じようなことを述べましたので、がん相談コラム『抗がん剤治療のやめどき(前編)-医学・医療というよりは、生き方の問題』と『抗がん剤治療のやめどき(後編)-命の内容・質を大切にする』を参考にして下さい。

まとめ:
延命治療を自分で決めるために必要なこと|かつや心療内科クリニック(医師によるがんのよろず相談)

■延命治療を自分で決めるために必要なことは、知識とアドバイスをくれる医療者です。

■当院でも事前指示書作成のお手伝いをしています。当院は「がんのよろず相談」ですから、どのような相談でもお受けします。

■でも、料金が高い、と思う方もおられると思います。がん患者さんやご家族の相談という医療は、健康保険には収載されていませんので、自費診療になってしまうのです。頂いた料金は、当院の維持に欠かすことができないものです。ご理解いただけますと幸いです。

概要 概要

院長 吉田勝也
標榜科 がん心療内科
資格 元日本緩和医療学会
緩和医療認定医
厚生労働省 精神保健指定医
日本医師会認定 産業医
住所 神奈川県藤沢市南藤沢17-14
ユニバーサル南藤沢タワー403
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アドレス
gan-soudan@kzc.biglobe.ne.jp
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連携医療機関 湘南藤沢徳洲会病院
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1回50分という十分な時間をお取りして、心理療法的枠組みの中で、じっくりと相談して頂ける体制を整えています。
その体制を維持するために、すべて自費診療とさせて頂いています。健康保険は使えませんのでご留意ください。

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