死ぬこと、生きること(第12号)-恐れから解放される |藤沢市のかつや心療内科クリニックは医師によるがん患者さんのこころを専門にした心療内科です

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死ぬこと、生きること(第12号)-恐れから解放される

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死ぬこと、生きること(第12号)-恐れから解放される2025.06.30

 がんの患者さんやご家族は、様々な恐れを抱えておられます。取り分け、死に対する恐れは極めて深刻です。がんの患者さんでなくても、人間誰でも何かに対する恐れを常に抱いています。恐れから解放されて生きられたらどんなにいいだろうと思いますよね。

 今回は、『死ぬこと、生きること(第12号)-恐れから解放される』と題して、藤沢市にあるかつや心療内科クリニックからがん相談コラムをお届けします。恐れから解放されるための第一歩を踏み出したいと思います。

恐れを和らげる医療の試み

 皆さん御存じの通り、医療は生物学的基盤の上に成り立っています。がんの三大治療である手術、抗がん剤、放射線も正にそうですよね。最近は、医療において、心の面も大事にしようという傾向があるにはありますが、うつや不安といったものには、多くは向精神薬が使われます。これも生物学的基盤です。がん患者さんの様々な苦痛、例えば、死に対する恐れでさえ、医療では、症状(symptom)として扱われます。Symptomは、生物学的アプローチを好みます。

 死に対する恐れに対して、薬は効きません。当たり前ですよね。医療の限界です。あなたが持っている何かで、そして、《この世》の何をもってしても、《死の支配》から逃れることはできません。人間の限界なのです。

 もちろん、医学・医療において、生物学が重要なことは言うまでもありません。しかし、生物学に偏り過ぎているのです。患者さんは、病気を抱えて、恐れているのです。怖いのです。そのような患者さんの恐れを和らげる医療の分野があってもよいと私は思うのです。この思いが、私を医師の道へと向かわせたのです。

恐れとは何か? 私たちは何を恐れているのか?

 恐れは、人間の脳にがっちりと組み込まれています。生存が脅かされる時に、恐れの感情が湧いてくるのです。ですから、恐れは、生きるとか死ぬということに直結した感情と言えます。

 何を恐れるかは、人により、年齢により、置かれた状況により異なるでしょう。がんの患者さんの多くは、生命が脅かされていますので、死に対する恐れを常に抱えておられるでしょう。

 病気ではなくても、私たち人間は、常に何かを怒れていますよね。恐れの対象は、千差万別で数え切れないくらいあります。生存が脅かされるというのは、生命の危機だけではなく、社会的に死んでしまうような予感を引き起こすものも含まれます。例えば、受験の失敗、学歴社会の今、多くの人が抱えている恐れです。仕事の失敗や人間関係に対する気遣いもあります。人間関係の破綻に対する恐れも深刻です。

 私たちは、常に人を恐れています。人は自分をどのように思っているのだろう。あの人は、怒っていないだろうか。人に評価されたい、認められたい、褒められたい、好かれたい、「いいね」と言われたい。人は、これらのものを得るために、恐れを抱きながら、涙ぐましい努力をしますよね。

恐れを和らげるために、あなたは何をしていますか?

 ちょっと考えてみて下さい。いろいろとあると思います。恐れの原因を探り出して、楽になろうとする人がいますが、これは全く役に立ちません。恐れの中に沈むだけです。運動をして紛らわせる、瞑想をする、楽しいことを考える、信頼できる人に相談する、専門家に相談するなど様々なものがあるでしょう。中には、お酒を飲んで紛らわそうとする人もいますが、依存症のリスクがありますので注意が必要です。

《この世》に、恐れに対する癒やしはない

 人は、いろいろなことをして恐れを和らげようとします。一時的には、和らぐかもしれません。でも、少し時間が経つと、また、恐れが襲ってきますよね。人は、常に、何かを恐れています。《この世》の何をもってしても、恐れ、特に死の恐れから解放されることはありません。《この世》に、恐れに対する癒やしはないのです。

死の恐れの癒やしは、罪の解決にある

「罪が支払う報酬は死」(ローマ6:23)と聖書にあります。罪が死をもたらすのだということです。故に、死の恐れから解放されるためには、罪が解決されなければなりません(『死ぬこと、生きること(第6号)-罪と死』)。

 そして、死の恐れから解放されたなら、全ての恐れから解放されるのです。

今後の『死ぬこと、生きること』は、『恐れから解放される』がテーマです

 聖書には、「恐れるな」という御言葉が満ちています。具体的に「恐れるな」という言葉ではなくても、恐れなくていいのだと思わせてくれる御言葉はたくさんあります。

 当クリニックのがん相談コラム『死ぬこと、生きること』は、今後は『恐れから解放される』というテーマで書いていきたいと思います。恐れから解放される、とは関係ないと思われる回もありますが、全て、恐れから解放される、ことにつながっています。

 ここで、『死ぬこと、生きること』シリーズをお読みになるに当たり、大事なことを申し上げます。今まで『死ぬこと、生きること』は、第12号まで掲載しましたが、全てが繋がっており、それぞれの内容は響きあっています。よって、途中の号からいきなり読まれても理解が難しいと思います。是非、第1号から順番にお読み下さい。

信仰上の相談も緩和医療の一領域です

 世界保健機関(WHO)の緩和ケアの定義は、たいへん興味深いです。緩和すべき苦痛として、physical(身体的)、psychosocial(心理社会的)なものが挙げられていますが、それに加えて、spiritual(スピリチュアル)な苦痛に言及されているのです(WHOホームページ)。

 日本では、「spiritual」というと様々な意味合いがあり、中には、怪しげなものもあるようです。しかし、この言葉は、死に対する恐れ、生きる意味だとか死生観、自分の存在についてなどのことを意味しており、がんの患者さんは、このような問題に直面していることが多いです。欧米では、このような問題を考える基盤として、キリストの教の信仰があります。信仰上の相談も緩和医療の一領域なのです。

信仰上の相談(キリスト教/プロテスタント)もお受けします

 恐れや不安に取りつかれて、身動きできない、辛い。恐れから解放されたい。何のために生きているのだろう、今まで、何のために生きてきたのだろう、と思う瞬間は誰にでもあると思います。

 日本医療伝道会衣笠病院(キリスト教主義)ホスピス病棟に勤務していた時には、患者さんやご家族の様々なお話を聞かせて頂きました。ご一緒に、讃美歌を歌ったり、聖書を読んだり、お祈りしていました。「お祈りして下さい」と言われることもありましたし、「祈って下さってありがとうございます」と言って下さる方もおられました。

 信仰上の相談といっても、何も堅苦しく考えることはありません。ご一緒に聖書を読んだり、お祈りすることができます。置かれた状況に応じて、勇気の湧くような御言葉をお渡しすることもできます。何でも相談して下さい。当クリニックは、こころと療養のよろず相談なのですから。

まとめ:
死ぬこと、生きること(第12号)-恐れから解放される|かつや心療内科クリニック(医師によるがんのよろず相談)

「安心しなさい。わたしだ。恐れることはない」(マルコ6:50) 「勇気を出しなさい。私が共にいるから、恐れることはない」とイエス様は言われるのです。

■緩和医療の一環として、信仰上の相談(キリスト教/プロテスタント)もお受けします。

■是非、聖書の御言葉に取り組んで下さい。次回は、『死ぬこと、生きること(第13号)-聖書から、神様のメッセージを聞き取る方法』と題してお届けします。あなたが置かれた環境、病状や体力に合わせて、取り組んで頂けるようにいくつかの方法をお教えします。

概要 概要

院長 吉田勝也
標榜科 がん心療内科
資格 元日本緩和医療学会
緩和医療認定医
厚生労働省 精神保健指定医
日本医師会認定 産業医
住所 神奈川県藤沢市南藤沢17-14
ユニバーサル南藤沢タワー403
申込用
メール
アドレス
gan-soudan@kzc.biglobe.ne.jp
電話番号は載せておりません
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連携医療機関 湘南藤沢徳洲会病院
藤沢市民病院

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1回50分という十分な時間をお取りして、心理療法的枠組みの中で、じっくりと相談して頂ける体制を整えています。
その体制を維持するために、すべて自費診療とさせて頂いています。健康保険は使えませんのでご留意ください。

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